糖尿病性網膜症の治療方針

 糖尿病性網膜症の治療方針は、初期の段階であれば血糖コントロールを重要視し、これといった治療や手術は行いません。

 しっかりと血糖コントロールができれば、網膜症の劇的な進行はないと考えるのが普通です。

肥満傾向の男性のお腹

 とはいえ、血糖コントロール自体は、糖尿病においてどの段階でも治療のベースとなるものなのでいつも重要です。

 糖尿病患者さんをみている感じからすると(私、薬剤師なので)、がっちり入院でもしない限り、厳格にコントロールすることは難しいんだろうなとは思います。

 自分自身が自分の主治医となり、食べるものを管理し、インスリンや糖尿病薬を忘れず飲むというのはなかなか難しいのです。

 (そもそも糖尿病は自己管理ができなくて病気になってるともいえるので、難しい話なんですよ、苦笑。)

糖尿病性網膜症の予防の効果

 上記のように基本的な治療方針は初期段階では生活改善が中心となるので、その予防効果の判定は難しいのです。

 ダイエットなら○〇kg痩せた!、仕事なら営業成績を伸ばした!、ジョギングなら距離を伸ばせた!、タイムが縮まった!、スコアが良くなった!、などなど、数値として目に見えるのですが・・・。

体重計とダイエット

 糖尿病性網膜症はこれ以上の進行を抑えることが目的となるので、頑張っても頑張っても、現状維持をしているだけのような感覚になるので、体感的に治療している!効果が出ている!っと感じにくいのです。

 とはいえ、血糖コントロールをしっかりしなかった場合、網膜症が徐々に進行しより失明に近づいていくというのは間違いないです。一旦、網膜症が進行すると治療が難しくなる病気ですので、継続が力となります。



進行した糖尿病性網膜症の治療・手術

 糖尿病性網膜症がある程度進行すると、積極的な治療・手術が優先されるようになってきます(内科的治療や血糖コントロールは基本として)。

 2つの手術が主なもので、レーザー光線による治療と、硝子体手術があります。

網膜光凝固療法

 こちらは糖尿病性網膜症の根本的な治療法ではなく、あくまでも進行を防ぐための治療になります。

レーザー光のイメージ

 レーザー光線を、血行不良となっている網膜に当てて焼き付け、出血や血管新生の発生、増殖を食い止めることが目的となります。

外来通院でOK

 手術の時間は1回20~30分程度なので外来通院で行うことができます。

外来通院のイメージ

 ただ、1回で完治するようなものではありませんので、数回の通院が必要となります。平均して3~4回の通院回数で、期間としては2~4週間程度かかります。

 あと、レーザー光線は人によっては痛みを感じる場合もあります。通常、麻酔をせずに行う治療ですが、どうしても我慢できない場合、麻酔をすることも可能です。

 ただし、最初に書いたとおり、この治療法はあくまでも食い止めることが目的の治療のため、一旦低下してしまった視力を回復させることはできません。

硝子体手術

 網膜症がさらに進行してしまい、眼球内に大出血が起こっている、網膜が剥がれ始めている、っといった段階まで来た場合に硝子体手術となります。

 濁ってしまった硝子体の病変部を切除したり、網膜が剥がれている部分を元に戻すような手術になります。

手術のイメージ

 文字で書くとあっさりした手術のように感じるかと思いますが、目の手術の中でもかなりハイレベルな手術に分類されており、手術の時間も長く、2~3週間程度の入院が必要となります。

 手術の成功率は執刀医のレベルにもよりますが、7~8割とされており、残り2~3割の内の更に10%程度(100人中2~3人)は残念ながら失明に至るリスクもある手術となっています。



糖尿病性網膜症の治療薬

 比較的最近の話題にはなるのですが、眼球内に注射することで、糖尿病黄斑浮腫(網膜症の親戚のような病気)を抑えることができる治療薬が出てきました。

治療薬アイリーア注

アイリーア注

 元々はガン細胞へ栄養を送る血管の成長を抑え、栄養不足にして兵糧攻めにする薬だったのですが、この作用を応用して、目の新生血管を抑えることに使ったお薬です。

 糖尿病網膜浮腫や加齢黄斑変性症の治療薬として目の硝子体に注射して使われています。

 この注射薬と、上で紹介した網膜光凝固療法を組み合わせることでかなりの効果をあげられるようになってきたのですが、完治させることはまだ難しいといったところが現状です。

個人的に思うこと

 糖尿病性網膜症に関しては、初期の段階から糖尿病をうまくコントロールし、進行させないということが重要だと思います。

 好きなものも食べられないし、目も見えにくいとなってくると老後の楽しみもあったものじゃありません。

老後の楽しみ

 私も病院で働く薬剤師の端くれですので、実際にそういう高齢の方を何人も見てきています。

 好きなものを食べて、勝手に糖尿病になる。糖尿病になって死んでもいいと好き放題食べるのも個人の自由だと思います。

 が、介護する家族さんを見ていると何だかやりきれない気持ちになることも多いです。家族に迷惑かけるのはなんとなくイヤですよね。

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